ひとこと

30年、お寺に泊まろう会 

 24年から初めて今年で何回目になったろうか? 好評で夏、秋と連続した時もありました。
(左記写真はH24年記録)全員整列し、身を正し合掌し、
・一には功の多少を計り彼の来処を量る
・二には己が徳行の全欠を忖って供に応ず
・三には心を防ぎ過を離るることは貧等を宗とす
・四には正に良薬を事とするは形枯を療ぜんが為なり
・五には成道の為の故に今此の食を受く
をお唱えし食事を頂きます。
ご飯を食べるときは、足も食事し、手も食事し、耳、鼻、口一切で頂きます。食に好き嫌いなし、食事の好き嫌い
が性格形成に大きく反映しますので、親御さんの最も注意すべき 躾、子育ての原点です。
 今の時代、社会が繁栄し、貧しい環境がなくなりました、貧乏な家庭は皆無です。(貧乏だといいながら携帯電話は必需品、は論外) わたしは、昭和23年生まれ、戦争が終わって3年目の誕生です。小学生時代は、学校から帰ると、台所のミズカメに、天秤棒でバケツを担ぎ、水を運ぶのが第一の仕事でした。食事のおかずは漬物、良い時でいわしの焼き魚1・2匹、田んぼから取ってきた たにし の酢味噌和え、ご飯がアメていても水洗いし梅干しで流し込む食事、学校の弁当はアルミの弁当箱に梅干し一個の日の丸弁当でした。 今日の和尚さんからの話は、みんな小学生になり、大人の話も理解できる年代になりましたので、ちょっと難しい話をします。
「辛いこと、苦しいこと、難しいこと、堪えること」の反対は、「楽なこと、楽しいこと」です。
 むかしは、「苦労は買ってもしろ」という格言がありました。
 みんな、「楽なこと、楽しいこと」は二の次にし、「辛いこと、苦しいこと、難しいこと、堪えること」を先にしなさい。ゲームは楽しいこと、勉強は辛いこと、親の手伝いはいやのこと。楽しいゲームを先にすれば「自分の人生はバカになる」を、肝に銘じ、自分の一生がかかった毎日毎日の生活ですから大事にしなさい。 「辛いこと、苦しいこと、難しいこと、堪えること」を先にして、辛く苦しいことを積み重ねる毎日にしなさい、そうすれば、如何様にも耐え得れる忍耐が生まれ、「堪忍を成す」人格が作られます。
 侍の時代から明治維新に変化した時代、今日の日本を作った先人は、みんな「辛いこと、苦しいこと、難しいこと、堪えること」を積み重ね、白人至上主義の時代、有色人種として初めて白人と対等な立場を作りました、これ一重に艱難辛苦のお蔭様故です、君たちも西郷、勝、坂本、山岡等を目指しなさい。
 お釈迦様の教えに、「自未得度先度他」という言葉があります。「自分は地獄で結構、あなたを先に極楽に」という生活規範です。家庭では、お父さんが「奥さんの苦労は私がする」とし、お母さんは「お父さんの苦労は私がする」と、あい しあえ ば、無言で家庭円満です。夫婦円満な家庭から和が生まれ、陽気な雰囲気が生じ、事件を引き起こす様な子供が出ようはずがありません。
「権利の主張」と「義務の遂行」は連帯します、これが円満になった者を自立者と云います。「朝起きる時は起きる、夜寝る時は寝る」自分勝手を先にせず、きまり事に身をゆだねクセにすることです、クセが身に着けば辛いことはなくなります。お釈迦様は世の中は苦ダと云いました、苦労に苦労を積み重ね、こころが大きくなると苦しい、辛いは消えうせ、やることと自分が一体になり充実した毎日が続きます。坐禅は苦労しない自分を作ります、坐禅しなさい。

和尚のひとこと