ひとこと

玄妙尼送別会に向けた

 先に、アラスカから玄妙さんが2週間滞在され坐禅、朝課に随喜しました。今から10年前、米軍三沢基地 基地病院の精神科でドクターをしていましたが、三沢に滞在したほとんどを期間、坐禅に通い、坐禅が精神病の療養に最も効用があると、実感し、得度し、宗門の僧籍に入り、修行を終えました。

最初の計画は、ニュウーメキシコ州のアルバカーキに坐禅堂を開単し、米国に坐禅を広めたいとの、予定でしたが、4年も旦那様を置いて単身赴任です。年に1・2度帰国し、ダニエルさん(御主人様)に孝行しましたが、4年もしたら男の身勝手・・・彼女が送った一切(百万×12か月×4年)を使い込み、そのほとんどがどこへ行ったやら・・・。

裁判しても、4年の単身赴任が欠点で・・・?それら一切が帰って来ませんでした。

 帰国するに際し、行くところがない、と友人に相談したら、アラスカのアンカレッジ禅STが禅の指導者を探しているとの事で、友人を頼りアラスカに出発しました。

 私がお釈迦様から伝わった法を伝える嗣法という儀式の時、この儀式は実に厳粛なもので、師匠の血と受ける者の血を合わせ、朱色の墨ですり、お釈迦様から自分までを朱線で書くなどの他人には見せない荘厳、尊厳に満ちた儀式です。私は、嗣法に際し、いろいろ条件を出していました、その一つに、3年間は医師活動をしない事の項目もありましたので、生活の財源は、35名の参禅者から頂く48,500円(=460ドル)の月額喜捨で、食費(愛犬と一緒)と油代で生活する状態です。

道興さんが、古い携帯電話を使っていたので、新しい携帯がないの、と聞いた折、「お金が・・・」と帰ってきました。当時色々な点で苦労していた状況がよみがえってきます。

 これを3か年よく、師匠からの厳命を守り精進したものと、感心するやら、有難いやら、嬉しい弟子で有ります。  師匠の私からの厳命は

    1・なにが有っても、坐禅をすること。

    2・事件を起こしそうな人が居たら、その様な人を弟子

                     にすること。仏の教えを実践し、実行す

                    る人を作る(弟子にする)と、その人間は事件を起こ

                    さない。

                    子供がない者は、子供を産む陣痛に堪え、羞恥を気に

                   しないで哺乳し、自分の血肉をさき、自己を犠牲する

                  母性本能を満たすには、他人を一人前にするが第一。そ

                   れには弟子を育てるが第一。弟子を取る事です。法を

                  絶やさないこと。

    3・嗣法をしてから3年は、世間の仕事はしないこと。

    4・日本と違って、葬儀法要がない。本来、苦に苛ま

                     れない人の集団を作りなさい。

    5・師匠が(授業師・法幢師・本師)が死んだら、最後 

                     の報恩を尽くすこと。

 こらが、玄妙さんに、嗣法と共に与えた厳命です。しかし、玄妙さんのダニエルさんへの悪言が一切聞かれないのには、・・・信仰に対する深さと固さを証明した様に感じた次第でした。

 今回の玄妙さんの来日費用をお聞きしたら、「アンカレッジから羽田まで、往復15万」との事、今度 皆でアラスカまで、オーロラの輝く時期に訪問しましょう。 

和尚のひとこと